空気時計制作工房

母屋では日記と詩を公開中です。


詩人の部屋より


過去作より
○季節の中で ○二人の夏
○陽のあたる場所 ○もう一度
四作品を追加


これで11/35

■二人の夏

夏の階段・・・それは 誰もが
恋する誰もが 一度は登る階段


少年は 少女を
少女は 少年を 愛するがために
少年は 少女を
少女は 少年を 自分だけのものに
独占したくなる
そんな自分を自虐して 涙する


涙・・・そんな悩みの涙は美しい
ただ ひたすらに 美しい


そんな悩みの 向こうで
そうだ 涙を越えて飛翔が待っている
いつか 本当の愛を知る日が
夏の階段を登る日がくる


少年よ お前ひとりの愛情だけで
少女を 包もうとしないことだ
少女が もっと たくさんの人々の
愛情によって 包まれていることを
忘れないことだ
そして 少女を包んでいる たくさんの人々の
愛情の輪の一部となることだ



愛すること
人が人を愛すること
人である限りは
人と人の間に生きる
人間であること
それを 忘れないことだ

■もう一度


砂時計のように
反転することで
あの時を もう一度
刻めるならばと


時の波打ち際で
帰らぬ人を待っている
ゴドーならば 二人で待つのに
ボクは一人で待っている


砂時計のように
反転することで
あの時を もう一度
刻めるならばと


本当にゴドーを
二人で待っているのかな?
一人で待ち続けているとね
心の中で会話が始まるんだ


ダイアローグでなくて
ノローグがね 始まるんだ


時の波打ち際なんて嘘


だって 時は寄せ来るばかりで
一方から他方にしか流れないもの
あの人が帰って来るはずないもの
だって あの人は もう・・・

■季節の中で


お店の外は もう大人の時間
月影に照らされて アスファルトの影
あなたは 呟くように言う
「やっぱり 影は ふたつだね。」
「それが どうかしたの?」
「何でもないさ・・・歩こうか。」
「どこへ 行くの?」


私に答えもせずに 歩きはじめる
あなたの背中
けっして 広くはないけれど
でも なぜか 私をささえてくれそう


…背中合わせで 千春でも 聴こうか…


小走りに あなたの背中を追う私

■陽のあたる場所


もし 地球が自転しなければ
陽の当る人々と 陽の当らぬ人々を造ってしまう
ただでさえ そうなのに


一日中 太陽のほほえみを 受けていられるのかい
一日中 起きていられるのかい


自転すればいいんだよ 
いろんな方向に目を向ければいいんだよ
それでいいよね 自然だよね


休み休み 生きていく
そのための夜だよね