空気時計制作工房

母屋では日記と詩を公開中です。

秘すれば花(No.730)

(『風姿花伝世阿弥

ボク 花の美しさについて 考えたんだ


秘すれば花 秘さざるも花 ってこと


花が 秘密にしているのは 本来の目的
それは 子孫を残す為の 受粉


花が 秘密にしていないのは 自分の美しさ


考えてごらんよ 太陽に向けて 
自分の性器を 広げてるんだよ
人間だったら 犯罪なんだよ
でも それが美しいんだから
花は すごいな


女性だけが花じゃないんだよ ボクだって 花 なんだ


こんなことがあったよ


彼氏のいる彼女 その彼女に憧れるボク
彼氏は卒業 そして就職
彼女はボクと同い年


いろいろあって ある日のこと
二人で おみくじ ひいたんだ


ボクのは
「寄さば引き 引かば寄す わだつみの 待てば海路の日和あり」


彼女のは
「眺むれば 眺むる花も あるものを 虚しき枝に 鶯の鳴く」


梅に鶯 お似合いのカップルだけど
梅の花は 散ってしまう
その頃 桜は満開となる
でも 鶯はいつまでも 梅の枝で鳴いている
飛び移ろうと思えば 満開の桜の木があるのに


ボクは そのおみくじの文面
彼女から聞くまで 知らなかったから
一生懸命だった そうしたら
鶯は ボクの枝に止まったよ


でも 桜の花って 散るときは いさぎよく散るんだ
・・・また 梅の花が 咲く季節になったよ
さすが 百花の魁・・・


秘すれば花
秘さざるも花
秘する術なき 花も花